日本妊産婦支援協議会 りんごの木

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「バースハピネスを考えるシンポジウム」          報告その3(2016年2月28日開催)

●シンポジウムについてもっと知りたい方のために●

 

シンポジウムの報告が、『助産雑誌』に掲載されました。

 

『助産雑誌』(医学書院)第70巻 第7号 20167月号

TOPICS:「バースハピネスを考えるシンポジウム」を企画して(p566-569

 

同じ号に、シンポジウムで講演してくださった日隈氏と森氏も寄稿されています。

 

日隈ふみ子「『継続ケア』と『ケア提供者の継続』」(p541-546

 

森臨太郎・森享子「ほんとうに確かなことから考える 妊娠・出産・子育てのはなし[11]産後の栄養と母乳保育(供法廖複580-585)

シンポジウム報告 / - / 日本妊産婦支援協議会 りんごの木 /
「バースハピネスを考えるシンポジウム」     報告その1(2016年2月28日開催)

 キャンパスプラザ京都において、「バースハピネスを考えるシンポジウム〜母になるプロセスを支える〜」を開催しました。約140名の方が参加くださいました。医療従事者の方が7割、一般・学生の方が3割でした。医療従事者の方のうち約8割が助産師の方でした。講師の方とスタッフを含めると定員170名の会場はいっぱいになりました。


                        (写真提供:河合蘭)
●シンポジウムの内容●
寸劇:日本妊産婦支援協議会りんごの木
講演1:左古かず子
(あゆみ助産院院長)
講演2:竹内正人(東峯婦人クリニック副院長)
講演3:北島博之(大阪府立母子保健総合医療センター新生児科部長)
講演4:日隈ふみ子(佛教大学医療技術学部看護学科教授)
講演5:森臨太郎(国立成育医療研究センター政策科学研究部長)
全体討論
映像ドキュメント:河合蘭
(出産ジャーナリスト・フォトグラファー)

●バースハピネスとは●
 「バースハピネス」とは「母親と家族が赤ちゃんの誕生に感じる幸せに始まり、地域、社会に広がっていく幸せの輪」であると私達は考えます。母親と家族が赤ちゃんの誕生に幸せを感じることで、赤ちゃんが「自分は大切な存在なんだ」と幸せを感じ、幸せそうな赤ちゃんを見て母親と家族が・・・というように幸せの輪が幾重にも重なり、広がっていきます。バースハピネスは、出産という一点における幸せではなく、時間的にも空間的にも広がりを持つ幸せの連鎖です。
 私達は、どんな出産でも、母親と家族が赤ちゃんの誕生に幸せを感じることは母子や家族の幸せだけでなく、地域、社会の幸せにつながると考え、そのためには妊娠初期から出産、産後にかけて母親と家族が抱く不安に寄り添う医療、寄り添うケアが大切だと考えます。
 「バースハピネス」「寄り添う医療」「寄り添うケア」、どちらも耳に心地よい言葉です。そして、理念的に正しいことかもしれません。けれどもこの理念を(たとえどんな小さな地域であっても)社会制度にすることは簡単なことではないでしょう。

 
●鳥の目、聴く耳●
 新しい制度を作るのであれば、現在行なわれている医療・ケアがどのような法律や制度の枠組みのなかで行われているのかを理解し、限りある人材と予算を何にどう使い、それによってどのような効果がどのくらいもたらされるのかを示さなければなりません。「目の前で苦しんでいる人を救いたい」と目の前の人に真摯に向き合えば向き合うほど、全体を見失いがちになります。しかし、言わば鳥の目を持って、全体を見渡す必要があります。 また、自分たちの理念が正しいという強い信念を持つほど、異なる意見や小さな声に対して聴く耳を持たなくなりがちです。自分達とは異なる意見や小さな声を丁寧に聴き取っていく耳を持つ必要もあります。
 
●参加型シンポジウム●
 バースハピネスを実現する制度について、鳥の目と聴く耳を持って、参加者の方とともに考える、そんなシンポジウムを目指しました。
 まず、りんごの木のメンバーがシンポジウムの趣旨を表現したオリジナル劇を上演しました。笑いあり、涙あり、歌あり、踊りあり、の内容で「リアリティと関西色が織り交ぜられた脚本、熱意あふれる演技で、とてもわかりやすかった」と好評でした。

 
                           (写真提供:河合蘭)
 バースハピネスを実現する制度の叩き台として、出産施設基準7項目を提案しました。7項目は、講師の方のご意見を参考に、事前にりんごの木でまとめたものです。
 ≪
出産施設基準7項目

(下の写真をクリックすると拡大されます)
 
 左古かず子先生、竹内正人先生、北島博之先生、日隈ふみ子先生にそれぞれの立場から、提案された出産施設基準がバースハピネスを実現するために重要である理由と実現するための課題を話していただきました。次に、森臨太郎先生に、英国でのガイドライン作成における市民参画を例に市民が当事者として成熟することの重要性をお話しいただき、さらに、医療政策の立場から項目それぞれに対して、限られた人材・財源を踏まえた実現可能性について述べていただき、鳥の目の視点を具体的に示していただきました。
 全体討論に入る前に、参加者の方に項目それぞれについて「このような基準を策定することは、お母さんが愛情と自信を持って、赤ちゃんを迎えるために必要である」かどうかを評価してもらいました。「ぜんぜんそう思わない、あまりそう思わない、どちらともいえない、すこしそう思う、とてもそう思う」のうちどれに当てはまるかを評価用紙に記入・提出してもらい、集計結果を発表しました。さらに、全体討論の途中で2回目の評価を行ない、再び集計結果を発表しました。評価の集計を行なったのは、大勢の人の前で発言することが苦手な人や少数派の人の意見を全体の評価に反映させるためです。討論のあとにもう一度評価を行なってもらったのは、様々な意見に耳を傾けることで自分の意見を再考し、意見が変わることもあるということ、意見が収斂されていくこと、を可視化するためです。実際には、討論の時間が十分ではなかったため、1回目と2回目で劇的な変化は見られませんでしたが、討論が評価に影響を及ぼしたことは確認できたのではないかと思います。 

 
                     (上の写真提供:河合蘭)                           
 全体討論では、出産施設基準を実現するために乗り越えなければならない制度、人材、財源などの制約が存在すること、バースハピネスを実現するためには、出産施設だけでなく保健、介護、福祉、まちづくりなどの地域の生活基盤を含めて考えなければならないこと、資源が限りある中では必要なことを求めるより不必要なものを削っていくことが有効である、などが講師や参加者から指摘され、議論が深められました。 
 最後に、河合蘭氏にご自身がファン助産院で撮影された映像ドキュメントを上映していただき、母親と赤ちゃん、家族、助産師とでつくられる幸せの輪(バースハピネス)を参加者全員で共有しました。上映後に、河合氏は、緊急帝王切開のために助産院から病院に搬送されて赤ちゃんを迎えた家族や 21トリソミーの赤ちゃんを迎えた家族から、助産院での出産と同じようにバースハピネスを感じ、それを撮影された経験から、バースハピネスは決して正常出産だけを対象とした理念ではなく、全ての出産を対象にした理念なのではないか、と話されました。そして、出産に幸せを感じられないことで出産を控える人がいるように、出産が幸せなものでなければやがては人類が滅亡してしまう、そう考えればバースハピネスは人類にとって余剰物ではなく必需品であると話され、バースハピネスという理念を最後にもう一度確認する機会を与えてくださいました。
 では、バースハピネスという理念を実現するためにはどうすればよいのか? 今回のシンポジウムだけで結論が出る話では無論ありません。私達りんごの木は、シンポジウムで提示された鳥の目と聴く耳をさらに鍛え、社会を構成する責任ある市民として考え、また、多くの方と共に考え行動する機会を作っていきたいと思います。
 素晴らしい講演をしてくださった左古かず子先生、竹内正人先生、北島博之先生、日隈ふみ子先生、森臨太郎先生、そして観る人の心をケアしてくれるあたたかい映像ドキュメントを上映してくださり、当日の模様を写真撮影・提供してくださった河合蘭氏に深く感謝いたします。そして、お忙しい中、また遠方よりお越しくださった参加者の皆様、お手伝いくださったボランティアの皆様、ありがとうございました。

 

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「バースハピネスを考えるシンポジウム」         報告その2(2016年2月28日開催)

シンポジウム当日、フロアーの参加者の方から講師の方に対する質問を提出していただきましたが、質問が多数あったため、時間内に全部にご回 答していただくことはできませんでした。

以下、当日ご回答いただけなかった質問に対する、講師の方の回答を掲載いたします。

 

●講師の方の回答●

 

【左古かず子氏への質問1】

帝王切開になった方への声かけで「それでよかったんですよ」とその事を肯定的にとらえられるようにと思ってはいても、実は本当に必要でなかったのではと思う帝切もあります。そんな時、とても心が痛みます。

 

≪左古かず子氏の回答1≫

まずは、「本当は必要では無かったでは?と思う帝王切開術に対して心が痛む」と仰ってくださった事に心から嬉しく思います。助産師として産婦さん側にいて下さるからです。

私も病院時代に何度かそのように思うことがあり本当に心が痛み自分の無力さをいやというほど実感しました。ただそのままにはせず仲間と一緒に医師に話し合いを申し出ました。

とことん話し合うことの大切さを経験しました。そうすることで次のいいお産につなげていけたと思っております。どうかあきらめずに助産師仲間と気持ちを合わせて産婦さんの為に頑張って頂きたいと心から願っております。貴重な質問を有難うございました。

 

【左古かず子氏への質問2】

病院助産師さんに伝えたいことはありますか?

 

≪左古かず子氏の回答2≫

当日お話させていただいたことにつきます。病院勤務の大変さは多くの助産師さんからお聞きしていますし自身の経験からももっともっとお母さん方のそばに寄り添いたいのになかなか思うようには出来ないというジレンマもあると思います。でも気持ちが産婦さんのほうに向いていればきっと伝わると思います。当然態度や話し方にも出てきますのでお産中の敏感な時期にはきっとお母さんたちはそれらを感じ取って下さると思います。「誰の為に助産師をしているのか」それさえ忘れなければ大丈夫と、私は思っています。

 

【竹内正人氏への質問1】

助産院がある地域では、病院にかかる健康な妊婦さん(ローリスク)に、助産院を紹介するようなのはガイドラインにいれることはできないのでしょうか?*竹内先生と森先生おふたりへの質問です。

 

≪竹内正人氏の回答1≫

現在のガイドラインは、各施設での診療を標準化する目的で作成されたものなので、助産院を紹介というのは、ガイドラインの基準としては適切ではないかもしれません。また、仮にガイドラインに入っていても、病院と助産院の連携がきちんとできていなければ、実際に紹介する機会は少ないと思います。

 

【竹内正人氏への質問2】

保健医療機関の情報公開の義務化はとてもいいと思います。ぜひ実現させてほしいことです。そして、そこにもうひとつ母乳育児へのとりくみや人工乳の使用なども含まれるとなお良いと思います。

 

≪竹内正人氏の回答2≫

玉石混交の情報が溢れるなかで、どの情報を公開すべきかは重要です。バースハピネスという視点からは、たしかに母乳育児と人工乳の情報は大切だと思います。

 

【北島博之氏への質問】

北島先生のご講演の中で、産婦をほめちぎることで分娩時間が短縮されるとありました。これについての研究や医学的根拠などありましたら教えて頂きたいと思います。

 

≪北島博之氏の回答≫

私のスライドでは、以下のように書いています。これに関する医学的研究というよりも著者のクラウスらが、見聞きしたことを記述しています。医学的根拠は、リラックスするとオキシトシンが良く分泌されるだろうという事実を示していることです。

 

参考資料その1:  ダブリン国立病院での経験

「The Doula Book」第1版より引用  クラウス・ケネル・クラウス

第2版では、削除されていますので、ご注意下さい。

 

遷延分娩予防:1対1看護で産婦一人に一人の助産師を陣痛開始から産褥初期まで配置、病棟は非常に静かであった

       (帝王切開率は11.6%)

   基本的に医師の補完だがお互いに尊敬しあっている  

   さらに補助の看護師と助産師学生がつく

 医療チームは助産師長1、主任助産師3、助産師学生5

 分娩過程をみるために医学生・看護学生を同様に継続支援

 看護師は、産婦に対するタッチ・目と目を合わせる・手と手が触れ合い・

 顔と顔を合わせる(産婦と同じ高さで目を合わせる)訓練を受ける

 初産の平均分娩時間6時間・84%は8時間以内・12時間以は2%以下

     (初産の41%が陣痛誘発のためにオキシトシンを使う)

 一人の助産師が、年間200人のお産を扱う(それまでは、95人)

 

(実際の扱った数は、225人とのことであった。)

 

引用元は、ザ・ドゥーラ・ブック  

第1版の第9章「ダブリンでの経験」pp177-195. に書かれています。

 

 

 

【日隈ふみ子氏への質問】

アドバンス助産師は、現場ではどのような役割をされているのでしょうか?勤務先の公開はされていますか?

 

【日隈ふみ子氏の回答】

昨年(2015年)12月25日、全国で5562名のアドバンス助産師が誕生しました。

現時点で公開の同意が得られた施設と助産師名の一覧(アドバンス助産師認証者名簿(病院・診療所編))は、日本助産評価機構のホームページ(下記のURL)をご覧ください。

http://www.josan-hyoka.org/ladder3.html#am_koukai

認証制度の目的

 クリニカルラダー認証制度とは、助産実践能力が一定の水準に達していることを審査し認証する制度であり、助産実践能力が一定の水準、つまり助産実践能力習熟段階クリニカルラダーレベル靴肪していることを評価する仕組みです。
 具体的には助産業務に従事しているなかで、社会の要請に応じた能力に対応する経験と必要な研修などを受講していることや助産に関する知識技術がブラッシュアップできているかなどを確認します。 

 その目的は、以下の3つが挙げられます。 
 第1に、妊産褥婦や新生児に対して良質で安全な助産とケアを提供できることです。
 第2に、この制度により、助産師が継続的に自己啓発を行い、専門的能力を高める機会になります。これにより助産師自身も、実践能力を自覚することで、より明確な目標をもつことにつながります。
 第3に、社会や組織が助産師の実践能力を客観視できることにあります。

 3月14日17時までに回答があり、同意の回答(本人および施設長もしくは看護部長の承諾)が得られた2699名について本ページに掲載

アドバンス助産師認証者名簿(病院・診療所編)

今後も当機構ホームページでの公開に同意の回答があった場合は、7月末までに定期的に公開してまいります。2015年に認証されたアドバンス助産師の氏名および所属施設は、2016年6月末までを同意に関する回答の最終期限

 

 

 

産科施設の宣伝には使えないと思いますが、各産科施設による情報公開は可能です。しかし、産科施設によっては、まだ公開もされていないのではないかと思われます。そこで、女性側から「アドバンス助産師はいますか」と尋ねられるとよいでしょう。助産師側はヤル気十分でも、産科施設側が無視しているか、公開することに非積極的な部分があるかもしれませんので。

アドバンス助産師の役割は、自律した助産業務を担うことですから、助産師外来や院内助産がその産科施設内にオープンできるとよいと考えます。しかし、そのためには院長、看護部長をはじめとした管理者や医師側の理解がないと、アドバンス助産師だけでは助産業務の変革は困難なのが現実です。そこで、女性側からの要望が大きな力になると思いますので、「貴院でのアドバンス助産師はどんな役割を果たしていますか」との質問は、助産師にとっても女性にとっても大変有効だと思います。

 

【森臨太郎氏への質問1】

助産院がある地域では、病院にかかる健康な妊婦さん(ローリスク)に、助産院を紹介するようなのはガイドラインにいれることはできないのでしょうか?

 

≪森臨太郎氏の回答1≫

「ガイドライン」とはこの場合、どのガイドラインでしょうか。たとえば日本産科婦人科学会が作成しているガイドラインに入れる、というようなことは「可能」かと思います。子のためには、日本産科婦人科学会での協議が必要になります。多くの開業産科がローリスクによって経営されていることを考慮すると、現実的には難しいと思います。国としては、ローリスクの妊婦さんの出産を助産院で行うことは「認めて」います。ただ、紹介する、あるいは積極的に助産院を推奨するには、検討するべき点があります。一つ目に、「ローリスク」の定義です。実際には妊娠出産にかかわるリスクは学術面での進歩とともに拡大傾向にあり、「どの程度までをリスクと呼ぶか」ということに関する総意形成はまだできていません。高齢出産や初産をハイリスクと考える考え方もあり、それを含めると、かなり狭くなります。さらに、国のレベルで、ローリスクの妊婦さんに助産院を進めるということを制度化するということは、出産場所に制限を加えることになりますので、制度の成り立ちを根本から変えてしまうことになると思います。

 

【森臨太郎氏への質問2】

医療スタッフの方に余裕があるようにするには具体的にどうしていけばいいと考えられていますか?

 

≪森臨太郎氏の回答2≫

まずは、不要な業務を減らすことかと思っております。不必要な介入をしないということもありますし、事務手続きなどの業務を減らすこともあるかと思っております。あとは、緩やかな集約化が必要だと思っております。医師の開業もグループ開業化されていく傾向にあります。小規模な助産院や開業産科での出産のメリットもありますが、大きな視点に立つと、もうすこし集約化は可能かと思います。病院に雇用されるのではなく、出産場所としての病院と個々の診療者が契約して、場所を借りて、それぞれの出産介助が行えるような契約形態が望ましいように思っています。一人の診療者が、複数の病院と契約してもよいと思います。

 

【森臨太郎氏への質問3】

母子手帳をもらうときに、地域助産師による選べることの説明などバースコーディネーター的なことや相談ができるよう設置することは難しいか?

 

≪森臨太郎氏の回答3≫

これは可能かと思います。ただし、わざわざ新しく人件費を増やす必要はなく、自市区町村の窓口がこういう機能を担えばよろしいかと思います。

 

【森臨太郎氏への質問4】

日本では、圧倒的に正しい情報が公開されていないと感じます。特にテレビなどマスコミは数字を上げるための偏ったある出来事のみをクローズアップしてる気がして、どの番組を回しても同じ内容が流れたり、雑誌も然りだと思います。これから選挙権が18歳以上になるという話もあり、今後のことを考えるともう少し問題意識を国民1人1人が持って議員を選んだり、声を出していくべきですが、具体的にイギリスがそれらの医療改革が抜本的に行われて成功している背景には何があると思いますか?

 

≪森臨太郎氏の回答4≫

いくつかの要素があるかと思います。一つには、財政のプライマリーバランスが常に一致することにより、国の支出が市民の生活にもう少しフィードバックがかかっていること(逆に約束として、将来の世代からの借金はしないこと)もあるかもしれません。また、民主主義が市民の戦いにより獲得されていった歴史(日本ではそういった市民運動による獲得という形ではなく民主主義が実現しました)もあるかもしれません。指示的な教育により、能動的に考える市民が不足しているのかもしれません。また、「政治的」であることが何ら恥ずかしいことではない、という文化があるのかもしれません。いずれにせよ、「社会全体」に参加意識がなければ、日本を含めて世界はかなり厳しい状況になることは間違いないように思います。

   

【森臨太郎氏への質問5】

日本の周産期はどのようになっていくと思いますか?

 

≪森臨太郎氏の回答5≫

出産に限らず、日本の各地で、新しい時代を感じさせる活動が活発になってきているように思います。りんごの木の活動のような活動が、さまざまなところで広がり、市民がより主体的に制度に参画することで、大きく変化していくことだと思っております。

 

【森臨太郎氏への質問6】

森先生は「目に見えないもの」質的なものの政策への導入は難しいと言われましたが、英国では出産そのものを「一般的に病理ではなく、精神的、情緒的、家族全体のライフイベント」として、医療側も共通認識として明示しています。日本の産科医療の場では安全への管理だけが強調され過ぎていると思います。これは一般市民の(ケアーを受ける側)の成熟度の違いに尽きると思われますか?

     

≪森臨太郎氏の回答6≫

まずは、一般市民=ケアを受ける側ではないという認識が必要です。日本の出産にかかわる制度を作ってきたのも、運用してきたのも、日本という社会であり、一般市民=社会です。もし安全だけが強調されすぎている制度が今あるとすると、それを作ってきたのも、日本に住む市民の総体としての社会です。医療従事者も、この社会の構成員です。日本の社会は高度成長期を経て、成熟に向かっているように思います。英国ですべてがうまくいっているとは思いませんし、彼の国の方が成熟しているとは思ってはおりません。

 

 

質問してくださった参加者の皆様、回答くださった講師の皆様、ありがとうございました。

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